道を歩きながら、向かい側にホウキが立てかけられている家のような店のような建物を発見しつつ、何度か通りすぎていた。
先日少し時間があったので、その建物の前まで行ってみたら、どうやらそこは道具屋さん。
入ってみたら、そこにはホーローの器やハタキ、ざるや束子などなど、昔ながらの暮らしの道具が並んでいて、おそらく古くからあったお店なのだけど、今改めて見直されている物たちが選り抜かれて置かれている、そんな印象。
引っ越した家は無垢材の床で、掃除機もドライモップもいいけど、ちょっとした時に箒があると便利だなぁと思いながら、いいものに出会えるのを待っていました。
祖母が使っていたのと多分同じ、竹の柄(え)のついた箒と、同じく竹の柄のついたハタキをみて、これ!!ともう興奮状態。
元々欲しかったものというだけでなく、なんだか、そこに並んでいる一流たちを一気に連れて帰りたい!みたいな不思議な衝動にかられつつ、今度は夫と娘を連れてくることを考えていつくか選んだ。
お店のおばあちゃんに「こちらでお会計よろしいですか」と誘われたのは、併設された隣の器屋さん。
ああ、さっき「いいなぁ」と思った外の立て看板は、同じお店だったのか。
奥から出てきたご主人は、息子さんかな。
「じゃ、こちらでお願いします」とおばあちゃんが戻ろうとした時、思わず「素敵なお店ですね!」と、この興奮した気持ちの中、伝えられる精一杯の一言。
「ありがとうございます」と深々とお辞儀をされて、なぜだか涙が出そうになる。
「ずっと欲しかった物が全部買えたよ!!」と帰宅したら、「それはよかった」と夫は言い、ホームページを拝見したら、元々は明治時代からある街の暮らしを支える道具屋さんでした。
建築家でもあるからか、あの老舗の和菓子屋さんのような佇まい、整然としているのに、どこかほっとするような物と物の間合い、好きすぎる。
きっと父の影響だなぁ、と思いながら「受け継がれて行くもの」に触れると涙が出る仕様なのだな、と自己分析。